2023-12

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『霧笛』鑑賞記~村田実と中野英治、そして志賀暁子~

12月23日、神戸映画資料館にて念願の村田実監督『霧笛』(1934)を鑑賞した。明治期の外人居留地を舞台に、異人のクウパー(菅井一郎)のもとで下男として働く元スリの千代吉(中野英治)は、喧嘩の強さから地元のやくざを取り仕切る豚常(村田宏寿)に目をつけられる。千代吉は豚常の縄張りのチャブ屋でらしゃめんのお花(志賀暁子)と出会い惹かれ合うが、お花がクウパーの愛人であることを知り、やがてお花をめぐって千代吉とクウパーは対決する。ざっと筋書きを紹介した通り、登場人物の関係性において中心となっているのは千代吉とクウパー、千代吉とお花ではあるが、千代吉に因縁をつけて喧嘩を挑む地元のやくざ、代官坂の富(小坂信夫)の存在も忘れがたい。千代吉との喧嘩に負け、弟分となって千代吉の危機を救おうとする富は、劇中の台詞いわく「ぽかぽかやって」勝てば男同士のヒエラルキーが決まる単純さが見ていて一種の心地よさがあった。本作の主眼はお花をめぐる三角関係というよりも、千代吉のクウパーに対する感情の変化である。クウパーの下男として忠実に働き、クウパーの癖さえ身につくほどになった千代吉が、お花の相手がクウパーだったと知るに...