2018-12

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入江たか子をめぐる五人の男

入江たか子『映画女優』(学風書院 1957年)入江たか子は1927年のデビューから一躍スターの座に上り詰めた。華族のお姫様という話題性はマスコミの注目を集めたが、当時の東坊城家は没落貴族でありひたすら家族を養うために選んだ女優という道だった。本作は貧困、失恋、結婚の失敗、病気、そしてスターの座からの転落をつづった入江たか子の半生記である。描かれる映画界の内幕も庶民が抱く華やかなイメージとは程遠く、俳優の女性関係や映画会社の策謀で占められている。入江はその持ち前の美貌で多くの映画人を虜にしたが、彼女を取り巻く男たちの中でも特に際立つ5人を紹介しておく。東坊城恭長入江たか子の兄、東坊城恭長が映画界入りしたのは1924年のこと。同じ華族だった小笠原明峰主宰の小笠原プロを手伝っていたのがきっかけで日活に入社する。東坊城家は父であり当主の徳長の死去と、それに引き続く関東大震災の被害により生活苦に陥っており、残された3人の兄が母と弟妹を養わなければならなかった。恭長の映画界入りは華族出身だからなのか高額の月給で、そのため恭長には「身売り」の意識が多分にあったようである。子爵の御曹司が活動役者になっ...